“ギタージャンボリー2025”をレポート! 20本以上のアコギが登場した“弾き語りの祭典”

弾き語りの祭典“J-WAVE TOKYO GUITAR JAMBOREE 2025 supported by 奥村組”が、2025年3月1日〜2日に開催された。記念すべき10回目となった今回は、過去最多の動員を記録。アコギの音色と歌声だけというシンプルな表現方法がゆえに、各アーティストの個性が色濃く表出した演奏が印象的だった。そんなステージの模様をレポートしていこう。

文=関口真一郎 写真=上飯坂一

和田唱が音頭取った豪華ビートルズ・セッション

両国国技館の中央にしつらえた円形回転ステージの上で、さまざまなアーティストによるギター弾き語りがくり広げられる“音楽花見”ギタージャンボリー。今年も3月1日(土)、2日(日)の2日間にわたって盛大に行なわれた。

初日のトップバッターは、2024年に約10年ぶりの再結成を果たしたキマグレンのふたり。活動再開の喜びをかみしめながら、久々に出演するフェス特有の空気を存分に味わっていたようだった。

温かみのある歌声を会場にたっぷりと響かせた河口恭吾に続いては、ドラムとギター・ボーカルのユニット鈴木実貴子ズが登場。ギター・ボーカルの鈴木実貴子は“(ギタージャンボリーでドラムとの演奏は)ルール違反だけど、それでも出演を実現させてくれた人たちの期待にこたえたい”とコメント。血管がぶち切れそうなほどの絶唱で会場を圧倒していた。

鈴木実貴子ズ
鈴木実貴子ズ

ギタージャンボリー最多出場を誇る竹原ピストルは、持ち前のパワーを押し出す演奏というよりは、じっくりと聴かせるタイプの曲を選んでいた。もしかしたら直前に演奏する鈴木実貴子ズとのバランスを考えたのかもしれない。

同じくギタージャンボリーの顔であるトータス松本はお馴染みのヒット曲に加えて、自身のルーツでもあるオーティス・レディングの「Hard To Handle」をカバー。結成45周年を迎えたJUN SKY WALKER(S)の宮田和弥は和やかなMCを織り交ぜながら、ベテランらしい安定したステージで楽しませてくれた。

そしてこの日は、SUPER EIGHTの安田章大がソロとして初のフェスへの参加ということで、呼び出しから名前が呼び上げられると、割れんばかりの大歓声。その期待にこたえるように、安田はスケールの大きなパフォーマンスで会場を魅了した。会場のコール&レスポンス、華やかなペンライトの動きなど、まるでワンマンショーを観ているようで、国技館が東京ドームに感じられるほどの大盛り上がりだった。

続いては2013年の初回以来、12年ぶりの出場となった和田唱。安田による大盛り上がりのステージのあとだけに、やりづらいなと苦笑しながらも、シンプルな弾き語りだけでなく、フルアコによるジャズ・ギターや、ルーパーを活用したリズミックなプレイなど、多才ぶりを発揮。途中で安田をステージに招き入れて、以前にテレビ番組で一緒に演奏したことがあるというTRICERATOPSの「Fever」を共演する場面も見られた。

和田唱と安田章大
和田唱(左)と安田章大(右)

最後は宮田和弥、安田章大、和田唱の3人に、初日のMCを務めたクリス・ペプラーがエレキ・ベースで加わってビートルズの「I Saw Her Standing There」を賑々しく演奏。こうして初日は大盛況のうちに幕を閉じた。

海千山千のベテランによるステージングに引き込まれる

2日目(千穐楽)は透き通るような歌声とキャッチーな曲の良さが光った冨岡 愛からスタート。小気味よいギター・プレイと繊細な歌声を聴かせた大橋ちっぽけ、andymoriのナンバーやソロ曲でセットリストを組み立てた小山田壮平に続いてはandropの内澤崇仁と佐藤拓也が登場。息の合った美しいギター・ハーモニーが印象的だった。

内澤崇仁と佐藤拓也
andropから内澤崇仁(左)と佐藤拓也(右)

宮沢和史は深みのある歌声と巧みなギター&三線ワークで会場を魅了。川崎鷹也は大ベテランに挟まれる出演順となったが、そのステージは堂々たるもの。柔らかな歌声としなやかなギター・プレイで会場を盛り上げた。

そしてスターダスト☆レビューの根本要が登場。そのステージがすごかった。果たしてアコギ1本、演奏曲6曲ほどで、ここまでこの広い会場をひとつにできる人がいるだろうか。磨き上げられたトーク力といい、ライブを知り尽くした見事なステージ運びといい、長く音楽活動を続け、そのファン層を広げてきた秘訣を垣間見たような気がした。そして何よりも身体の奥から絞り出されるような哀感のある歌声が絶品だった。

根本要
根本要

奥田民生は終始、独特な気だるさを漂わせながらも、歌い始めると全力弾き。その時の気分、流れ、目の前の客席に合わせて曲を選んでいるかのような趣で、もはや奥田民生にしかなしえない世界感を醸し出していた。

大トリは森山直太朗。昨年は体調不良のため、残念ながら2曲でステージを下りることになったが、今回は万全の体調に整えてきた。森山は国技館の響きをじっくりと味わうような貫禄のあるステージを展開。しっかりと昨年のリベンジを果たした。

森山直太朗
森山直太朗

ギタージャンボリーは全員が同じ会場、ほぼ同じ時間枠で演奏するということもあって、それぞれのギターの音色やスタイルの違いが、よりはっきりと感じられるのが面白いところ。これまで知らなかったアーティストに出会えるきっかけになるのも魅力のひとつだ。さらに今回は歌の力を感じさせるイベントでもあるなと思わされた。また、来年の開催が楽しみだ。

TOKYO GUITAR JAMBOREE 2025関連情報

【ラジオ放送】
J-WAVE SPECIAL Okumuragumi presents J-WAVE TOKYO GUITARJAMBOREE 2025

  • 放送局:J-WAVE(81.3FM)
  • 日時:3月19日(水)20:00~24:00
  • ナビゲーター:グローバー

【テレビ放映】
トーキョーギタージャンボリー2025 ―桜らんまん編―

  • 放送局:BS朝日
  • 日時:3月20日(木・祝)17:00~19:00
  • ナビゲーター:クリス・ペプラー

【テレビ放映】
トーキョーギタージャンボリー2025 ―夜ふかし花見編―

  • 放送局:BS朝日
  • 日時:3月22日(土)25:00~27:00
  • ナビゲーター:クリス・ペプラー

※2日間の出演者をMIXして放送予定

関連リンク
https://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20250319200000
https://www.bs-asahi.co.jp/
https://www.j-wave.co.jp/special/guitarjamboree2025/

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