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これからアコギを始めたい、弾き語りができるようになりたい、でも、どんなところをポイントに楽器を選べば良いかわからない……そんな方にピッタリなオススメ・アコギをセレクト! ソロ・ギタリストとして活躍する龍藏Ryuzoに試奏してもらい、それぞれの印象を語ってもらった。動画も連動しているので、そのサウンドも体感してほしい。
龍藏Ryuzo試奏動画
はじめてのギター購入
最初に購入する1本は、どのようにギターを選べば良いでしょうか? 龍藏Ryuzoさんならではのアドバイスをぜひ!
どういう音を鳴らしたいのか決まっていれば早いですが、おそらく最初はわからないですよね。それに自分の演奏スタイルも、決まっていない方がほとんどだと思います。だからこれは僕のオススメですが、最初はルックスで選んでほしいですね。カッコいいと思えるギターは、自然と弾きたくなります。それに、このギターがカッコいいと思ったモデルを選べば、大体自分に合っていますよ。だから、パッと見の “これカッコいい!”という第一印象の気持ちを大切にして選んでみてください。
なるほど。音はどうですか?
音に関してもわからないと思いますが、できれば購入の際に1度は弾いてほしいですね。1弦だけでも弾けば、キレイな音だなとか、何かしら心に響くことがあるはずで、それも基準になります。それから弾きやすさも大切です。ギターが弾けなくても、ボディを抱えるだけで、このシェイプなら自分の体や手にフィットするとか、これは肩まわりがキツイかなとか感じるはず。だから最初にギターを探す時はルックス第一で選び、その後にボディ・サイズもチェックしてください。それから何かコードをひとつ覚えて、ネックの厚みが自分の手に馴染むかを確認できれば、より理想に近いギターに出会えるはずです。
今回の企画で試奏しているギターも含め、近年のエントリー・モデルは質が高いですね。
たしかに。どれも弾きやすく、それぞれ個性もあったので、目的に合ったギターを選びやすいと思います。
ちなみに龍藏Ryuzoさんが最初に買ったギターは?
たしか、3〜4万円くらいで買った中古のアコースティック・ギターです。当時は、ほとんど知識がなかったので、今思えば弦高も高く、まともに鳴らないようなギターで。それを弾いていたためか、指が鍛えられました(笑)。
龍藏Ryuzoさんは演奏を教えている生徒さんから、ギターの購入について相談されることもあると思いますが、どのようなアドバイスを?
生徒さんはある程度弾ける方が多いので、まずはどんな音が必要なのかを聞きます。あと意外なところでは、自宅では大きな音が鳴らせないので何かオススメはありますか?と相談されるのですが、薄胴のエレアコもアリですね。生音はあまり大きくないけれど、アンプにつなぐとしっかり音が出るモデルはニーズがあると思います。それから演奏者の体型もチェックします。体型に合ったギターを選んでいるかも、アドバイスします。
龍藏Ryuzoさんみたいにソロ・ギターを弾きたい方には?
これはなかなか難しいですが、コードを押さえて弾き語りするよりも、ソロ・ギターは弦を押さえる指が複雑な動きをする必要があります。だからできる限り弾きやすいモデルを選んでください。例えば弦高が高過ぎるギターは、演奏するのが難しいですよね。ただ弦高に関しては、購入後でも調整できます。それから僕は、ナット幅もチェックします。ナット幅が狭いと弦に指が干渉しやすいため、ナット幅は広めのほうが弾きやすいように思います。
最初のギターは、その後のプレイ・スタイルや好みに影響すると思いますか?
人によるかも。ただギターを始めて9割の人がやめると、言われますよね。それは最初に購入したギターが弾きづらく、楽しく弾けるようになるまで続けられないことも理由のひとつだと思います。そういう意味では、はじめてのギター選びが、ギターを続けられるかどうかに影響がありそうです。だからこそ、最初の1本は弾きやすさが大切だと思います。長く弾き続けたくなるために、僕だったらピンとくるギターと出会えるまで探しますね。
はじめてのオススメ・アコギx13
はじめてのアコギにぴったりの13本をセレクトした。
見た目や龍藏Ryuzoのコメントなど、直感で気になるものがあればぜひチェックを!
aNueNue:M60
個性的なデザインが目を惹くアヌエヌエは、台湾のギター&ウクレレ・ブランド。これは日本を代表するギター製作家のひとり、杉田健司氏がブレイシング(内部の骨組)のデザインを手がけ、求めやすい価格ながらトップ材にシダーの単板を使うなど、音質にもこだわったモデルだ。スケールは610mmと短く小型ボディで抱えやすいため、幅広いユーザーに親しまれるだろう。ナット幅は44mmに設定され、ソロ・ギターの練習用としても使えそうだ。
トップ:シダー
サイド&バック:ローズウッド
ネック:マホガニー
ナット幅:44mm
スケール:610mm
指板&ブリッジ:エボニー
ピックアップ:Air Blue
価格:72,050円(税抜65,550円)
問:HMM☎0475-28-2934
小さなボディ・シェイプのギターなので、音に独特の可愛らしさがあって、3フィンガーとかも似合いそうですね。しっかり弾けば低音も鳴ってくれて、バランスの良いサウンドです。それに1弦の音が太くていい。カッタウェイもあるので、ハイポジションまで弾きやすいですし、ナット幅も広過ぎず女性にもオススメです。練習用のギターとしても使いやすいと思います。サウンドホールが独特の位置にあるデザインもオシャレですね。
Baton Rouge:AR19S / ACE
ヨーロッパらしい美しいデザインのアコースティック・ギターをラインナップするバトンルージュは、ドイツの会社が手がけるブランド。コストパフォーマンスに優れたギターが多く、このモデルはアンダー・サドルとマグネティックふたつのピックアップを内蔵しており、ライブにも使いやすい。またトップには、質の高いジャーマン・スプルースの単板が使われ、豊かな生音も楽しめる。ジャンルを選ばず幅広く使える1本だ。
トップ:ジャーマン・スプルース単板
サイド&バック:マホガニー
ネック:マホガニー
ナット幅:43mm
スケール:650mm
指板&ブリッジ:オバンコール
ピックアップ:BR2.1P
価格:66,000円(税抜60,000円)
問:ロッコーマン☎03-3980-1001
このギターも低域から高域までほど良い出音で、バランスがいい。それからネックがすごく握りやすい。塗装のサラサラした質感も好きですね。男性で指が太い方でも、弦に干渉しにくいと思います。僕みたいなソロ・ギターにも向きますし、フィンガーピッカーにもオススメです。それからラインの音も素晴らしく、ブレンドでふたつのピックアップのミックス具合を変えられるので音作りの幅も広いですし、コストパフォーマンスの高いモデルです。
Epiphone:Hummingbird Studio
多くのプロが愛用するギブソンのノウハウを生かしながら、独自モデルも数多く手がけるエピフォン・ブランド。これは人気モデルのハミングバードをベースに作られ、ハチドリが描かれた可愛らしいピックガード、フェイデッド・チェリーのフィニッシュなどが特徴となる。トップはスプルースの単板が使われ、歯切れの良い軽快なトーンを生む。定番と言えるフィッシュマン製のピエゾ・ピックアップも内蔵し、エレアコとしても即戦力になる。
トップ:スプルース単板
サイド&バック:マホガニー
ネック:マホガニー
ナット幅:43mm
スケール:628mm
指板&ブリッジ:パーフェロー
ピックアップ:フィッシュマン・ソニトーン
価格:62,700円(税抜57,000円)
問:ギブソン・ブランズ・ジャパン E-mail service-gibson@gibson.com
まずルックスに個性があって、美しいデザインは女性にも好まれそう。ボディは大きく見えますが、抱えてみるとそれほど気にならないと思います。音は軽快感があり、ピックでのコード・ストロークやアルペジオ主体で演奏する方に似合うはず。弾き語りには、特にオススメの1本です。ラインで鳴らしても変なクセはなく自然な出音で、トーンも付いているので使いやすいと思います。僕的にはアルペジオで弾く曲に使ってみたいですね。
Fender:Newporter Player Candy Apple Red
フェンダーと言えばエレキの代表ブランドだが、1960年代から独自のアコギも手がけている。片側に6つのペグが並んだヘッドは、ストラトキャスターなどで知られるフェンダーらしい伝統のルックス。くびれの大きなミディアム・ボディは体にフィットし、ネックも握りやすく、初心者に優しいデザインだ。このキャンディ・アップル・レッドも含めレギュラー・カラーは6色あり、カラー・バリエーションも豊富。フィッシュマン製のピックアップも内蔵する。
トップ:シトカ・スプルース単板
サイド&バック:マホガニー
ネック:マホガニー
ナット幅:43mm
スケール:650mm
指板&ブリッジ:ウォルナット
ピックアップ:フィッシュマンCD-1
価格:56,100円(税抜51,000円)
問:フェンダーミュージック☎0120-1946-60
テンションが緩めで、エレクトリック・ギター感覚で弾けるのがフェンダーらしい。僕は長くエレキを弾いてきたので、すごく弾きやすい。初心者にもオススメのギターですが、普段エレキを弾いている方にも試してほしいですね。それから女性でも弦を楽に押さえられますし、ボディ・シェイプも抱えやすいはず。立ち上がりが早く軽快な音で、フィンガーというよりピックでカッティングしたくなります。ラインの音もいいですよ。
GrassRoots:G-AC-50S NS
日本を代表するギター・ブランドのひとつ、ESPのクオリティを手軽に楽しめるエントリー〜ミドル・クラスのモデルをラインナップするグラスルーツ。これはマホガニーをくり抜いた薄いボディが採用され、一般的なアコースティック・ギターよりも生音が抑えられているため、家での練習にも重宝するだろう。スケールも610mmと短く、弾きやすい。ピックアップ&プリアンプを内蔵し、エレアコとしても使うことができる。
トップ:スプルース
バック:マホガニー
ネック:マホガニー
ナット幅:42mm
スケール:610mm
指板&ブリッジ:パーフェロー
ピックアップ:CV-210E 2 Band EQ Preamp
価格:55,000円(税抜50,000円)
問:イー・エス・ピー営業本部☎049-274-3810
これは個人的に好きですね。テンションが緩くて弾きやすく、すごく弦が押さえやすい。普段エレクトリック・ギターがメインの人も抵抗なく持ち替えられると思います。もちろん初心者の方が弾き続けても、指が痛くなりづらいと思うのでオススメです。それから生音が大きくないので、あまり音が鳴らせない環境で練習する時にも使いやすいはず。ラインの音がキレイなので、ライブでも重宝すると思います。エフェクター乗りも良さそう。
Headway:HD-5080SE(Japan Tune-up Series)
最高級の国産アコギも手がけるヘッドウェイは、その技術を生かしたエントリー・クラスにも力を入れている。このジャパン・チューンナップは、海外で製作されたギターを国内の工房で丁寧にセットアップしてから出荷されるシリーズ。そのため演奏性は抜群で、ギターのポテンシャルを最大限に発揮する。音色は高価なギターの片鱗を感じるクオリティで、デザインもシンプルで飽きない。フィッシュマン製のピックアップも内蔵している。
トップ:シトカ・スプルース単板
サイド&バック:サペリ
ネック:ナトー
ナット幅:43mm
スケール:643mm
指板&ブリッジ:ミカルタ
ピックアップ:フィッシュマン・ソニトーン
価格:88,000円(税抜80,000円)
問:ディバイザーカスタマーサポート☎0263-57-9608
音の立ち上がりが早くて、バランスがいい。入門モデルですが、高価なギターに通じる響きがあります。ジャンルを選ばないポテンシャルの高さもあり、オールマイティなギターだと思いますね。ネックは少し細めのシェイプで、テンション・コードも握り込んで押さえやすい。ラインの音はクセがなく自然な出音で、弾き語りにも向いていると思います。それから、まだ弾きたいジャンルが定まらず、いろいろと弾いてみたい方にもオススメです。
Ibanez:FRH10N
エレキ・ギター&ベース、アコギまで幅広くライナップし、世界的に有名な国産ブランドがアイバニーズだ。このモデルは、オリジナルのFRシェイプが採用された、シングル・カッタウェイのエレガット(ナイロン弦エレクトリックの呼称)。ホロー構造のボディは厚さが約50mmと薄く、エレキ感覚で弾くことができる。トップにサウンドホールはないためハウリングに強く、自分の音がモニターしやすいサイドポートは練習時にも重宝する。
トップ:シトカ・スプルース単板
サイド&バック:サペリ
ネック:ナトー
ナット幅:46mm
スケール:648mm
指板&ブリッジ:ウォルナット
ピックアップ:アイバニーズ・オリジナル
価格:104,500円(税抜95,000円)
問:星野楽器販売☎0561-89-6900
ネックが薄くて弾きやすいですし、クラシック・ギターのようにナット幅が広過ぎないので、親指でネックを握り込んで押さえられる点もいい。生音はそれほど大きくないため、いろいろな環境で練習しやすいと思います。サイドにサウンドホールがあり、自分の音はしっかりモニタリングできます。それからライン前提で設計されているため、ハウリングに強そう。クラシカルな曲というよりポップスやジャズ、ボサ・ノヴァとかで使ってみたいですね。
James:J-700/C
全国に支店を構える島村楽器のオリジナル・ブランドのひとつ、ジェームス。さまざまな楽器を取り扱う同店の経験を生かし開発され、保証期間も3年と長く安心して購入できる。トップはシトカ・スプルース単板で、生鳴りも豊か。さらにピックアップ・システムが秀逸で、なんとリバーブ、コーラス、ディレイのエフェクターを内蔵し、アンプにつながずとも効果が楽しめるため、練習やレコーディング、動画配信まで役立ちそうだ。
トップ:シトカ・スプルース単板
サイド&バック:パーフェロー
ネック:マホガニー
ナット幅:42mm
スケール:638mm
指板&ブリッジ:テック・ブラック
ピックアップ:James Duo Tone/FX
価格:79,500円(税抜72,273円)
問:島村楽器☎0570-035-005
これはピックアップ・システムが画期的で、一見ツマミがふたつに見えますが、突起部分とリング外周に分かれていて、ボリュームやマイクレベル、リバーブなどがコントロールできて、さらにコーラスなどのエフェクトもかけられるので、楽しいですね。いろいろな音色を気軽に楽しめるのは、曲作りにも役立ちそうです。生音は高域がきらびやかでキレイ。ストロークでもアルペジオでも映えそう。少しナット幅が狭いので、女性や手の小さな方にもオススメです。デザインもシンプルで飽きないと思います。
Martin:LX1
リトル・マーティンと呼ばれるミニ・ギターで、イギリスを代表するシンガーソングライター、エド・シーランも愛用したモデル(※エドはPU付きのLX1E)。発売以来ロングセラーを続ける人気モデルだ。このサイズでもマーティン・クオリティで作られ、弾きやすいだけではなく、サイズ以上のふくよかな音色が得られる。スケールは23インチ(584.2mm)と短いため可搬性も高く、キャンプなど野外でも使用したくなる。
トップ:スプルース
サイド&バック:HPL(ハイ・プレッシャー・ラミネート)
ネック:ラスト・バーチ・ラミネート
ナット幅:42.9mm
スケール:584.2mm
指板&ブリッジ:FSCサーティファイド・リッチライト
価格:60,000円(税抜54,545円)
問:黒澤楽器店☎03-5911-0611
これはすごくいい。ミニ・ギターではありますが、音に深みがあってふくよかな響きで、さすがマーティンだなと思いました。カッタウェイはないですが、ハイフレットまで弾きやすく、演奏性も高いと思います。小さいので体の小さな方や女性でも抱えやすいですし、持ち運びしやすいことも大きな魅力です。キャンプとかに持っていってもいいですよね。音はカントリーとかブルースに合いそうですが、どんなジャンルでも使えそうです。
NAGI GUITARS:shiro
オシャレな部屋にも映えそうな木材の白を生かしたルックスで、個性を感じる1本。このモデルをラインナップするナギギターは、富山県にある楽器店“Blue Guitars”が手がける新進気鋭のブランドだ。抱えやすいグランド・オーディトリアム・シェイプのボディ・トップには、高価なモデルにも使われるイングルマン・スプルース単板が使用され、豊かなトーンを生む。ネックは5ピース構造で強度に優れている。
トップ:イングルマン・スプルース単板
サイド&バック:HPLフレイム・メイプル
ネック:メイプル/エンジニアード・エボニー5P
ナット幅:44mm
スケール:650mm
指板&ブリッジ:メイプル
価格:43,890円(税抜39,900円)
問:Blue Guitars☎076-433-0942
ルックスが個性的なので、好みが分かれるかもしれませんが、僕は好きですね。ムダがなく、すごくカッコいい。部屋に置いておくだけでオシャレです。ネックは少し薄めで弾きやすく、抱えやすいボディ・シェイプです。メイプル材がふんだんに使われているので、ハイ寄りでクールな音の印象です。ピックでジャカジャカ弾きたい人には合いますし、カッティングすると気持ちがいい。僕はストローク・メインで使ってみたいですね。
PLAYTECH:AO35 Sunburst
さまざまな音響機器を求めやすい価格で購入できる通販サイトを運営するサウンドハウスは、楽器好きの強い味方だ。そんな同社のノウハウをもとに、驚くほどのコストパフォーマンスで開発されるエントリー・クラスの楽器を展開するブランドがプレイテックだ。ブルージィなフレーズが思わず弾きたくなるサンバースト・フィニッシュのOMシェイプ・ボディは、トップにシトカ・スプルースの単板が使われ、心地良い音色を生んでくれる。
トップ:シトカ・スプルース単板
サイド&バック:サペリ
ネック:オクメ
ナット幅:43mm
スケール:648mm
指板&ブリッジ:HPL(ハイ・プレッシャー・ラミネート)
価格:39,800円(税抜36,181円)
問:サウンドハウス☎0476-89-1111
どこか懐かしさも感じる、昔ながらのデザインですね。OMタイプのシェイプは、抱えやすいと思います。サンバーストの色味も良くて、この色がほしい方にはオススメです。音は高域寄りでキラキラしていて、どちらかと言えば弾き語りに向いていると思いますが、ストロークでもアルペジオでも使えます。古いフォーク・ソングとかも似合いそう。ネックにはカーボンファイバーのトラスロッドが使われ、ネックの反りにも強そうですね。
Yamaha:STORIA Ⅰ
古くからアコギを作り続け、世界でもその名を知られるヤマハ。このモデルは、もっと身近な日常に寄り添うようなギターとして、デザインの美しさ、演奏のしやすさ、音色も含めて開発されたストーリア。抱えやすい小型のボディ・トップには、スプルースの単板が使われ、オフホワイトに塗られている。内部はライト・ブルーで、家の家具と調和するデザインだ。パッシブのピックアップも内蔵し、バンドでも活躍してくれる。
トップ:スプルース単板
サイド&バック:マホガニー
ネック:ナトー
ナット幅:43mm
スケール:634mm
指板&ブリッジ:ウォルナット
ピックアップ:SRT(パッシブ)
価格:55,000円(税抜50,000円)
問:ヤマハミュージックジャパンお客さまコミュニケーションセンター ギター・ドラムご相談窓口☎0570-056-808
すごくデザインが良くて、タイプですね。ナット幅が少し狭く、ネック・シェイプも細身なので、女性も弾きやすいと思います。ボディ・シェイプも小柄で抱えやすい。音はヤマハさんならではと言えるアコギのいい音で、低音もふくよかで、高域も出過ぎず、完成度が高いですね。それに音の分離もいい。ラインの音もナチュラルですごくキレイ。生音との違和感があまりないですね。これはオールマイティに使いやすいギターだと思います。
Zemaitis:CAF-85H Faded Red
イギリスの名工トニー・ゼマイティスが残したアコギの中でも、特徴的なデザインがこのハート型サウンドホールが採用されたモデルだ。彼の死後は、ブランドを受け継いだ神田商会が手がけている。ハート型のサウンドホールまわりには、ハートがふんだんに使われたロゼッタも入り、女性からの人気も高い。可愛らしいルックスだが、音色や演奏性は本格派で、4バンドEQを内蔵したプリアンプも付き、ライン出力での音作りの幅も広い。
トップ:スプルース単板
サイド&バック:サペリ
ネック:マホガニー
ナット幅:43mm
スケール:630mm
指板&ブリッジ:インディアン・ローレル
ピックアップ:EX-4 with Zemaitis Logo
価格:69,300円(税抜63,000円)
問:神田商会カスタマー・サポート☎03-3254-3616
デザインが目を惹くので、個性派を目指す方はこれですね。ハート型のサウンドホールですが、一般的なアコギと音の出方は変わらないと感じます。少し弦のテンションが強く、音に張りがあります。1弦はすごく音が太い。6弦もしっかり鳴ってタイト。メロディもしっかり出てくれますし、音に瞬発力もあるのでソロ・ギターでも使えそう。プリアンプは、4バンドのEQが付いていて、プレゼンスの効きも良いので、音作りの幅が広いですね。
トータルインプレッション
今回はエントリー・クラスのみでしたが、個性豊かなギターがそろっていて、いろんな特徴が感じられてインプレッションしやすかったですね。それからどのモデルもしっかり作られていて、すごく弾きやすく、求めやすい価格帯のギターとは思えないクオリティで驚きました。僕がはじめてギターを購入した頃は、こんなに質の高いギターはなかったように思います。
それから、最初から付いているピックアップの質が良くて驚きました。アンプにつなぐだけで良い音が楽しめたので、あとからピックアップを付け足さなくても即戦力になります。そういう意味では、のちのちライブをしたいと思っている人は、最初からピックアップ付きを選ぶ方がオススメですね。僕がギターを弾き始めた頃は、こんなに充実していなかったと思いますし、良い時代になりましたね。
個人的にはナギギターはデザインが好きですし、エレキっぽさがあって弾きやすいグラスルーツは、もともとエレキを弾いていたので気に入りました。同じ理由でフェンダーもいいし、アイバニーズのエレガットも弾きやすかったですね。僕はオールマイティなタイプよりも、どこか個性が光るギターが好きですね。例えばアイバニーズならジャズとかボサ・ノヴァに特化したギターとして使ってみたい。でも試奏させてもらったモデルすべてにそれぞれ良さがあったので、好きなギターを1本に絞るのが難しい(笑)。初心者だけでなく、ある程度弾ける方でもほしいモデルがあると思いますよ。
Ryuzo’s Equipments
Switch Custom Guitars OM-Ryuzo
センスの良いラインナップが秀逸なSWITCH Custom Guitarsの龍藏Ryuzoシグネチャー・モデル。OMモデルがベースで、本人のデザインによるポジションマーク、シンプルなロゼッタ(サウンドホールの装飾)、コアというハワイの木材を使ったバインディング(ボディ外周の装飾)など随所に特徴が見られる。ネック形状は工房で本人がグリップをテストしながら削り込んでいき、仕上がったというやや幅広な44.5mmの薄型オリジナル・シェイプだ。
取材・文:菊池真平 スチール撮影・動画:岩佐篤樹