プロが教える、ガット・ギターの弦交換のやり方

ガット・ギターは弦が切れるということも少なく、スティール弦に比べて交換する頻度も低いため、なかなか弦交換のやり方が覚えられない……という人も多いのでは? そこで今回は、クラシック・ギターの取り扱い数が日本トップクラスのクロサワ楽器日本総本店から、クラシック・ギター・フロア店長の渡辺泰弘氏に登場いただき、“正しいガット弦の交換方法”を教えてもらった。

取材/文=鈴木伸明 撮影=小原啓樹 動画=アコースティック・ギター・マガジンWEB

動画と一緒にやり方をチェック!

教えてくれるのは渡辺泰弘さん(クロサワ楽器日本総本店)

ガット・ギターの弦交換にはちょっとしたコツが要りますが、慣れれば誰でも簡単にできます。用意するものは、新しい弦とチューナー。さらに、クロス、厚紙、マスキングテープ、ニッパーなどがあれば作業がスムーズになりますよ。

Profile わたなべ・やすひろ クロサワ楽器日本総本店クラシック・ギター・フロア店長。島根大学ギター部出身。在学中に門脇康一氏に師事。世界中のあらゆる高名な製作家と出会い、優れたギターを紹介し続けている。テレビ東京『開運!なんでも鑑定団』で鑑定士を務めることも。

ガット・ギターの弦交換の手順

1 古い弦をはずす

すべての弦をゆるめて、ヘッド側から古い弦をはずしていきます。ストリング・ポストから弦を抜き、次にブリッジに巻きつけている弦もほどいていきます。ニッパーでカットして取りはずしてもOKです。ついでにブリッジ付近やヘッドなどのホコリを拭くといいでしょう。

ペグから弦を抜く
1. ストリング・ポストから弦を抜く
ブリッジから弦をはずす
2. ブリッジから弦を抜く。ニッパー使用OK

\ひと言!/
ナットとサドルに注意!

ナットとブリッジ・サドルは接着されていないので、弦をはずした際に落としたり、なくさないように気をつけてください。前後逆向きにつけてしまうと音程が合わなくなることもあるので、注意しましょう。

2 新しい弦を張る

まずはブリッジ側に弦を固定します。ヘッド側から穴に通し、先端の約1センチに折り目をつけて1周させ、ブリッジの下側に弦の先を挟むようにして、ヘッド側に弦を引っ張って固定します。

ブリッジの穴に弦をとおす
ヘッド側から穴に通す。ボディに傷がつかないように厚紙を固定しておくと安心
折り返して弦をくぐらせる
穴を通した弦を下から絡ませる。先端1センチぐらいを折っておくといい
弦の先を輪っかに通す
弦の先を挟み込むようにして……
引っ張って固定
引っ張って固定する

POINT

位置を整える
弦が浮き上がらないように巻きつけた弦を下側に押し込む。

3 ヘッドに弦を巻いていく

ストリング・ポストに弦を差し込み、ぐるりと巻いてからしっかりと引っ張って、固定していきます。弦はどんどん伸びていくので、最初から引っ張った状態で張ってしまってかまいません。

ストリング・ポストの穴に弦をとおす
ストリング・ポストの穴に弦を通す
弦を絡める
ヘッド側から回して、弦を絡める
弦を引っ張りながらペグを回す
余った弦を引っ張りながらペグを回す

\ひと言!/
ダブルホールもあり!

ブリッジの穴がふたつあるダブルホールという仕様もあります。弦に巻きつけずに固定するので、ブリッジ・サドルのテンションをしっかり保つことができますよ。

4 高音弦側も張っていく

高音弦側のナイロン弦も張っていきます。ナイロン弦は細いので、3~4回巻きつけて弦をブリッジに固定します。ヘッド側も3~4回ほど弦を絡めて固定していきましょう。ポストに巻きつける方向に決まりはなく、ナットからまっすぐに巻ければ大丈夫です。余った弦はカットしてOK。

ブリッジ側で弦を巻き付ける
1弦は4回ほど巻きつける。2〜3弦は3回ぐらいを目安に
弦を引っ張って固定
先端をブリッジ下側に挟むようにして弦を引っ張って固定
ヘッド側で弦を絡ませる
しっかり引っ張ってからストリング・ポストに差し込んで3~4回絡ませて……
ペグを回して固定
ペグを回して固定。ナットから弦が真っすぐになるように巻きつけていきます

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アコースティック・ギター・マガジンVol.105
『ガット・ギターのある暮らし。』

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