2023年4月、日本武道館で通算100回のライブを行なったエリック・クラプトン。そのライブで使用したアコースティック系の機材を、ギター・テックのダン・ディアンリーのコメントとともに紹介する記事の第2回目(1回目は、下記の”関連記事もチェック”を参照)。今回はステージで使われたプリアンプとD.Iだ。
Preamp & D.I.
ECのプリアンプ&D.I.システムもチェックしてみよう。まずK&Kの“Pure Mini”で拾われた信号は、AERのプリアンプ“Dual Mix(写真右)”のチャンネル1に接続されていた(注:今回のツアーで大きな変更点は、アコギに内蔵されているピックアップがドイツのブランド、K&Kが手がけるピエゾ・ピックアップ“Pure Mini”に変更されていた点だ)。このプリアンプは、新しく“Dual Mix 2”も発売されているが、これは最初のバージョンだ。写真を撮影した際のセッティングが、最終的な状態であったかは確認できなかったが、EQはハイ&ローともセンターよりも上げ目にセッティングしてあった。具体的には、設定範囲を0〜10と仮定(※ツマミに数値は入っていない)すると、ゲインが6〜7、ハイが7〜8、ローが6〜7といったあたりだろうか。
このモデルはD.I.も内蔵しているが、ライン・アウトからアンバランス出力され、長年使っているBAE Audio(Brent Averill)のマイク・プリアンプ&D.I.の名器“1073 DMP(写真左)”に接続されている。これは現在でもレコーディングなどで使用されているNEVE“1073”モジュールをリプロダクトした製品。コントロールは入力ゲインと出力レベルのみとシンプルだが、NEVE特有の個性を音色に付与することができる。ここからPA卓へと信号が出力されている。
ちなみに1073 DMPで信号が分けられ、Markbassのアコースティック・ギター用アンプ“AC 101”へと接続されていた。これはECのモニター用だと思われる。ちなみに現在は、すでにデザインなどが変わってしまっているようだ。
※本記事は、2023年7月27日発売のアコースティック・ギター・マガジン 2023年9月号 Vol.97にも掲載されています。
取材・文:菊池真平 星野俊(機材)、Masanori Doi(人物) 協力:ウドー音楽事務所