Guitars
Martin/D-28
煌びやかな高音を聴かせるメイン・ギター
この日のメイン・ギターとして活躍したのが、マーティンのD-28。ハイランダーのコンデンサー・マイク=Internal Micとアンダーサドル・ピエゾの信号をステレオで出力できるようにカスタマイズが施されている。
ソロでの演奏では「名もなき道」、「まほろば」、「オオカミ青年」などで使用。先に演奏をした後藤正文が“下北沢シェルターで聴いて痺れた”と語ったレミオロメンの「雨上がり」では、ハイポジションまで使ったアグレッシブなコード・プレイで、ドレッドノートならではの煌びやかなサウンドを聴かせた。
そして。後藤からの“「南風」やってもいいよ? 俺、最前列の観客ということで”という予定外の無茶ぶりから実現した、ふたりによる「南風」でも本器が使われ、後藤のハーモニカ・ソロのバッキングではガシガシとストロークし、会場の熱気は最高潮に。本器による「3月9日」の弾き語りで、ライブを締めくくった。
チューニングはレギュラー。使用弦は、沖田ギター工房のオリジナル弦で、ゲージは.012-.054。
Martin/000-28EC
温かな音色が歌声を支える
後藤のギブソンJ-45と合わせて半音下げ用でスタンバイした、エリック・クラプトン・モデル=000-28EC。ゆったりと聴き手を引き込む「傘クラゲ」、「8分前の僕ら」、「小さな幸せ」で使用。ドレッドノートとは違う中音域のまとまったサウンドで、甘いバッキングを聴かせてくれた。
そして、後藤とふたりでカバーしたオアシスの「Don’t Look Back In Anger」も本器で演奏。両者ともにコード弾きだったが、後藤のビンテージ・ギブソンらしい乾いたサウンドと、マーティン000らしいリッチなミドル・レンジの対比が楽しめた。
搭載しているピックアップや使用する弦はD-28と同様だ。
Pick & Capo
Sound System
Wazinator/Classic KSB319
グルーヴを客席と共有するための重要アイテム
「名もなき道」や「雨上がり」などで使用されたワジネーターのClassic KSB319は、フット・ストンプのサウンドを収音する機材。藤巻の足踏みによる音を増幅し、観客とグルーヴを共有する。弾き語りというミニマムなスタイルで、リズムを生み出すための重要なアイテムだ。D-28と組み合わせて使用することが多かった。
また、あえて高さを合わせた台に埋め込むことでフラットにし、自然体なリズムの刻みが生み出せるようにしている。
Pedalboard
クリアなサウンドを届けるためのシンプルな足下
藤巻のペダルボードは非常にシンプルで、あくまでもアコースティックなサウンドをピュアに増幅するための構成となっている。
アコースティック・ギターからアンダーサドル・ピエゾとコンデンサー・マイクからの信号がステレオで出力され、ピエゾ信号が①のチャンネル1に、マイク信号がチャンネル2に入力されている。50:50でブレンドした信号がPAに送られ、後述するマイクの音と卓でミックスした音が客席に届けられている。
チューナー②はアコースティック・ギター用で①に接続、チューナー③はClassic KSB319からの信号を受け、フット・ストンプのミュート・スイッチとして使用。
③を経由したClassic KSB319の信号は、ベース用DIの④でイコライジングを施し、PAへと送られている。
NEUMANN/KM-184
“質感”を演出するためのマイク
アコースティック・ギターの生鳴りを収音する、ノイマンのコンデンサー・マイク=KM-184。前述のとおり、アコギに搭載されたピックアップの信号とは別の独立した信号としてPAへ送られ、“生”の質感を加えるためにミックスしている。